レジャー研2001<京都会場>:講 演
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21世紀のエコツーリズム都市・京都に向けて  ……Page:>>>4>
■宿泊施設にとって、もはや経営課題となった環境対策

  ユーザーの環境意識がますます高まっている現在、各企業とも企業イメージや実際のビジネスの必要性から、環境対策に積極的に取り組みを開始しています。特にメーカーはこぞってISOの取得に動きだし、ISO取得企業のほとんどは環境にやさしい商品の普及を目指すグリーン購入ネットワークという団体に加入しています。その団体は環境に配慮した商品のリストを作成し、ISO取得企業に対して商品購入に関するガイドラインを提示し、サービス業の分野にも活動を広げ始めました。手始めに全国の環境に配慮した宿泊施設のガイドラインを策定し、該当宿泊施設のリストアップに今年度とりかかっています。2002年4月頃、ガイドラインを完成させ、ISO取得企業には一定の環境対策の条件をクリアした宿泊施設を優先的に利用してもらう仕組みを目指しています。また大手旅行代理店もガイドライン策定メンバーに加わっていますので、旅行代理店が作る宿泊施設パンフレットにバリアフリーのマークと同じような感覚で、環境に優しい宿泊施設の表示をつけてもらうなども目指しています。このガイドラインの策定において、アジェンダも積極的に協力連携していきます(アジェンダWG策定による「宿泊施設環境取り組みチェックリストを参照/ワード文書形式)。環境へのやさしさを基準にした宿泊施設の選別化が進み、それがユーザーの間にも定着していけば、やがては環境配慮型ということが宿泊施設の一つのステータスになり得るのではないでしょうか。
  さらに環境対策は、費用削減や新たなビジネスの展開という観点でも有効な手段になると考えられます。私たちが試算したところ、年間12万人泊規模のホテルでは石鹸やシャンプーなどをポンプ式に変えることにより年間300万円の経費節減になります。年間300万円の利益を出そうと思えば多額の売上が必要であり、非常に大きな金額であるはずです。また、トイレットペーパーもダブル巻からシングル巻に変えることによりトイレットペーパーにかかる費用の35%が削減されると考えられます。また新たなビジネスとして、ヒルトン東京ベイでは省スペース型のオリジナル2分別ゴミ箱を考案し、客室に設置しているだけでなく、それを通信販売でも取り扱っていると聞きました。また、京都の俵屋旅館ではアメニティグッズ用に使い捨てではなく、使用後も持ち帰る気持ちになるような高品質なオリジナルの香水入りの石鹸を作り、宿泊客に好評を博しています。またさらにそれを近くのギャラリーで販売し土産物として大変な人気となっています。
  これからの時代の宿泊施設は、積極的に環境対策に取り組み、それを社会にアピールすることが経営戦略として非常に重要になってくるのではないでしょうか。
■都市型エコツーリズムの可能性

  私たちのもう一つの活動の柱は、新しい旅のあり方であるエコツアーを京都から広めることにあります。観光産業は現在、世界総生産の10%に達していますが、今後も成長が最も期待される産業分野の一つです。1996年の世界観光機関の調べでは、世界の観光客数は5億9000万人でしたが、それが2010年にはおよそ2倍の10億人に拡大すると予測されています。そうした背景の中で、観光地・京都も受け入れ態勢を早急に整備していかなければなりません。ではどのようなコンセプトで受け入れ態勢を作り上げ、世界に情報発信して行くのか―――私たちが行きついた答えがエコツーリズムでした。エコツーリズムの定義は未だ一定しないのですが、私なりに言うと「観光地の自然環境、地域、文化、産業を理解・尊重し、これらを守り育てる理念のもとに行われる観光」であり、それを実現するのがエコツアーであります。
  エコツーリズムという概念は、もともとは自然環境そのものを対象にした考え方で、日本でも北海道や屋久島といった大自然を有する土地で試みられてきました。しかし都市においてもエコツーリズムを提唱することは21世紀の観光戦略において非常に効果的ではないかと私達は考えました。なぜなら21世紀の最重要課題である「環境」をまちづくりの観点からポジティブに観光に取り込むことが出来るからです。京都は悠久の歴史の中で自然、人々の生活、産業などが調和を図りながら発展してきた土地柄で、もともと京都には自然との調和という考え方がベースにあり、さらにそれを文化・芸術のレベルまで昇華させているというのは世界に稀有な京都の特色であります。多くの家元が集中している華道・茶道、西陣織などの伝統産業、どれも京都の自然環境と深くつながっています。つまり京都のまちすべてがエコツーリズムの対象となり得、都市型エコツーリズムをアピールするには、最もふさわしいまちであると言えるのではないでしょうか。
  ではその対象物をいかに見せて行くのか。エコツアーで大切なことは、単にコースだけを用意し、観光客に自由にまわってもらうだけでなく、その土地の自然や文化に精通したインタープリターと呼ばれる案内人が重要になります。そのインタープリターを通じて、エコツアーの重要な要素である、その土地の自然や文化、住民に深く触れ、感動し、大切に思ってもらう効果的な演出が可能になります。エコツアーの企画を通じてインタープリターはその地域のまちづくりにも貢献することになります。 現在京都における観光形態は、マスツーリズムによる短時間でお決まりのスポットを見学して回るというスタイルから、小人数による観光にシフトしつつあります。エコツアーを標榜しているわけではないものの、ボランティアガイドによる少人数の観光プログラムは多く存在し、私達の提唱しているエコツアーと実質的に非常に近くなっています。京都市の観光協会でも、エコツアーとは標榜していませんが、今年の夏に「京の町屋、夏の風情を訪ねて」という、初めて京都の町屋に光をあてたツアーを企画しています。京都のまちの暮らし、京都の自然を大切に生かし育みながら伝え続けられてきた、市民の生活の場である町屋というものを味わい学ぶ。これは私たちの考える都市型エコツアーの一形態であり、京都観光の流れは確実にその方向に向かっていっていると実感しています。
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