東邦学園短大では、平成8年度から女性の自立を支援するいくつかのシステムをスタートさせようとしている。主な事業は地域の社会人向け(特に女性)に「起業支援」、「自立支援」の講座を新設し、地域の女性たちの相談、生活と活動の拠点になる機能を準備してゆこうというものだ。学生数が減ってゆくなかで、短大が地域とともに生きる『コミュニティ・カレッジ』として生き残ってゆこうという戦略の一環でもある。
特に「起業支援講座」の開設とこれと連動する「起業相談」「無担保融資」の“自立と起業のための三点セット”は、企業へ就職できないとか、非人間的なこれまでの企業社会風土の中では働きたくないとかの理由から、自分で起業をめざす女性たち(“障害者”、高齢者、在日外国人なども)、また地域福祉をすすめ、環境を守る活動を、非営利ではあっても最低限採算のとれる事業にしたい人たちの自立を助けようというものだ。まず「起業支援講座」では、これまで男性が独占してきた企業や組織の経営・管理のノウハウ・情報を女性やマイノリティに移転するため、事業計画やマーケティング、事業進行、資金調達、人事管理、経理、情報収集、諸法律、設立登記、ネットワーキングなどなどを実践的に身につけてゆこうというものだ。この講座には、地域の多くの女性経営者や銀行家、税理士、コンサルタントなどがボランティア同様に献身的にかかわってくれている。
他方、「無担保融資」を進めるには金融システムを変えてゆくことが不可欠だ。日本でも数年前から片岡勝さんたちが永代信用組合と組んで「市民バンク」を開いて、ワーカーズ・コレクティブなどに融資してきているし、山口、大阪、山形など女性起業支援制度をつくろうという自治体は増えている。名古屋でもこうした試みができないものかと模索してきて、金融機関の専門家も交えて議論をかさね、去年、市の「共生プラン」の中へ起業支援制度化を盛りこんだ。そして今回東邦学園短大が、今年6月オープンする愛知県の女性総合センターの制度と連携して「起業講座」を開き、信用保証協会や東海地域の金融機関の協力などで、社会的に意義のある事業に無担保融資をしてゆける展望を開こうとしているわけだ。
行政の仕事は一律で、また固定的予算の増加は困難なため、日常的な運営には地域で「(女性)自立基金」のような柔軟性のある別のファンドができることが望ましい。近い将来、個人、女性団体、経済団体、金融機関など関心をもつ各界が共同で出資・運営する「地域基金」を実現することができないだろうかという夢もみている。