島は、大地から物理的に「孤立」しているものだ。太平洋の真ん中に位置するハワイ群島は、世界で最も地理的に孤立しているといってよい。ハワイの「孤立」とその結果によるエキゾティックなイメージは、少なくともここ100年にわたって、この「楽園の島」に世界各地から旅人をひきつけてきた。
皮肉なことに、そのイメージの存在そのものが孤立を薄める結果を引き起こす。孤立と訪れやすさというこの相矛盾するふたつの要素の並立こそが、ハワイの観光業発展の核心をなす。
島は、「小さい」ものだ。大きな島は大陸である。陸地部分7,000平方マイル以下のハワイにとって、第2次世界大戦以後のアジア太平洋地域のマスツーリズムの成長は、ハワイに変化の大波となって押し寄せた。
現在、島の100万人の住人が年間600万の訪問者を支える。ハワイにとってツーリズムは最大の産業である。この群島の社会政治経済の仕組みにとってツーリズムの位置はあまりにも大きく、雇用や売上高などの伝統的尺度では、観光産業の重要性を語ることはできない。
40年前、様相は異なっていた。ツーリズムはプランテーション型農業を基盤とする経済と基地の経済の陰に隠れていた。しかし、その後ハワイのツーリズムは急成長する。
1970年以前は、米国本土とカナダの繁栄とジェット機利用による旅の進展により、72年以降はそれに加え、日本をはじめアジア太平洋諸国、つまり東からの旅行者の急成長は加速した。
現地の政治リーダーや、現地および全米の経済動向や政策、現地の人々の個々の選択や習慣も確かに重要ではあったが、なによりもマスツーリズムの成長は都市化とリゾート化と深く関連し、それがオアフ島だけでなく近隣の島々の物理的・社会的景観を変えたことをみのがすことはできない。
一方、マスツーリズムの到来によって現地の生活が改善されたことに同意する人は多い。しかしながら、環境的にもちこたえることのできる限界にまでツーリズムの成長が達したという感情がみられ、さらにそれを示す具体的指標も見い出されている。
ツーリズムによって形づくられた広範な変化によって現地の特徴ある文化が消滅しようとしていると見るむきもある。
このような変化は旅行者にとってのハワイの元来の魅力を簡単に半減させうる。日本のバブル経済とその破綻と歩をともにした現地の不動産ブームとその失敗、および米国本国の経済不調は、この島々がみずからコントロールすることのできない外部の状況に危険なほどに依存していることを思い知らせるものだった。
この物理的に孤立した島々が、いかに地球上の他の地域と密接に「つながっている」かが如実にしめされたのだ。島にあって孤立と訪れやすさのふたつの間に微妙なバランスを保っていくことは、ここに課せられた課題であり、おそらくは永遠に続くものだろう。
(原文英語、翻訳編集部)