昔話から始めよう。かつて航空会社が決める最低販売価格(MTP)というものがあった。その後MMTPと言われる大手旅行会社主導の価格カルテルがあった。良き時代と懐かしむ「業界のベテラン」もおられよう。
裏話をしよう。1987年10月15日にこれらの制限は消え去った。消費者(お客様)と一部の先導的(ゲリラ)旅行会社とメディアの前に存在意義を失ったのである。この頃のメディアは「月1回発行の旅行情報誌」或いは新聞という紙媒体であった。
これらの話はわずかこの10年間での出来事である。メディア販売といわれる販売手法が普遍化した過程で、大手・中小それぞれの生き残り策が模索された。
その戦いは今も続いている。電子媒体化が進展しエレクトロニック・コマースが日常化する世の中になったらどうなるんだろう。
ホテル代や航空運賃は需給関係で毎日価格が変動しうる。また、変動幅も大きい。「生鮮食料品のような」旅行という商品は電子媒体に適しているという見方もある。
逆に、画像などで見せようにも差別化しづらく、物販に比べてエレクトロニック・コマースに馴染まないという意見も耳にする。正直言って私にはわからない。
インターネット(コンピュータネットワーク)以外のメディアが専攻するかもしれない。そんなことよりも重要なことはメディアがどう変わっていこうとも「お客様」のニーズを本当に真摯につかもうとしているかどうかではなかろうか。
今、他の産業は不況脱出のため何をしようとしているのだろうか。昨年来のスーパーでの流行はPB商品である。低価格だけに目がいってはいけない。
わが国での販売体制がこの数年の間にメーカー主導型から小売り主導型に変わってきたのだ。化粧品しかり、ビールしかり、洗剤や食品はいうに及ばず。
そのスーパーだってうかうかしちゃいられない。コンビニが抜き去り、今またスーパーが営業時間の延長などで反撃している。
業界のキーワードは何か。「規制緩和」という流行語の裏には「消費者主導型」という言葉が隠されているのではないか。
国内の話をしよう。高価格でもリピーターを中心にしっかりと「お客様」つかんでいる名門旅館やホテルもある。エージェントからの「送客」(集客ではないんだな)だけに頼っているところは苦しい。団体旅行についてくる若い添乗員に良い部屋を無償提供(食事や酒も)している旅館は「誰がお客様」だか本当に理解しているのだろうか。
平穏が維持される中、外資という黒船には襲われず、円高という順風に乗ってきたこの「業界」では、インターネットに備えるよりももっと別の世の中の流れに適応しきることが求められているように思うのだが。
メディアがどう進展しようと、利用する主体が「お客様」のニーズをしっかりつかむために、それらのメディアを使いこなせばいいんじゃないだろうか。